深夜の河原事件

深夜の河原から鳴り響く「キーキー」という錆びついたタイヤが回る音。そして、数人の足音と、クスクスと笑う声。時折「もうムリー」という苦痛の音。いったいこんな夜更けに何が起こったのでしょうか。それは夕食も済ませた後のこと。忙しくて散歩に行けなかったので、母が運動がてら愛犬(ゴールデン)の散歩に行った時の出来事です。夜なのでほかに人もいないですし、散歩をしている人もいないということもあり、我が家の愛犬はリードを放してもらい、川に入って泳ぎまくります。そして、潜ってみたり、川の中にいるヌートリアルと追いかけてみたりとはしゃぎまくります。もともと飼い主以外の人のところには向かっていかない犬なので、昼間に散歩をしても同じような感じになるんですけどね。この日は泳ぎだしたら止まらなくなり、疲れた母は一度家に帰り、また河原に戻ることにしました。犬を迎えに行った母がなかなか戻らないので心配になり、弟と河原まで行くと、母が「犬が川から上がってこられなくなったの。下に降りて、上げてあげて」とのことです。仕方なく川に降り、犬を2人がかりで土手まで持ち上げました。もう、犬は歩けなくなっていました。いったい何があったのか…家まで距離があるので私は家に帰り、一輪車を取ってくることにしました。一輪車を動かし始めると「キー…キー…」と錆びついた音が。そんなこと、かまっていられないと思い河原まで走っていくと、向かいからくる人影が悶えています。よく見ると、母と弟が腹を抱えて笑っています。「やめてー!その音!犬も乗りたくないって歩き出したわ」と大爆笑です。なんと、歩けなくなるほど川で遊んだ犬が私の一輪車の音を聞き、歩き出したというのです!せっかくの好意が無駄になり、しかも笑いのネタになり…なんとも恥ずかしい気持ちでいっぱいになったものの、「キー…キー…」という音だけがむなしく深夜の河原に響き、耐え難い笑いが込み上げてきた事件でした。今でもこの話になると、家族は死にかけるくらいの笑いの渦に巻き混まれます。

捨てられた犬と保護された犬

冷たい雨が降るある冬の日のことです。数日前から親子連れの犬が歩いていたそうです。親には首輪がつけられていて、その親に一生懸命ついていく子犬たち。子犬は数匹いたそうです。ある日、知り合いのお宅の犬小屋に知らない子犬が寝ていたそうです。驚いたその方は、すぐに近所に聞いて回り、親子連れの犬も探したそうですが、見つからなかったそうです。可哀そうになった知り合いは、どうしようもなく、日曜日でしたが市役所の日直に連絡をしたそうです。日直の方は週が明けたら市役所に方に手続きをしてもらうから、それまでは預かってくれと言われたそうです。不安に思い、週が明けたらこの子犬がどうなるか日直の方に聞くと、口を濁らせながら保健所に行くであろうことを言われたそうです。知り合いは腰に持病を持っていて、今飼っている犬の散歩で限界の状態でした。もう一匹飼うとなると、自分の体が持たなくなることも分かっておられましたが、どうしても気持ちが整理できないまま、子犬を連れて帰られました。そして、知り合いは友人に相談したそうです。そうすると、友人は「〇〇さんなら、犬の保護施設のこと知ってるはずだわ」と私の親に連絡をしてきたそうです。母は「犬のことなら娘に聞いて」と私に電話を振ってきました。運転中だった私は、すぐに状況が飲み込めないので、とりあえず、この方たちのもとに行くことにしました。行くと、子犬を最初に保護した方は泣いておられました。自分ではどうすることもできない状況と、なんとかしてあげたいという周りのやさしさに触れて涙が出てきたそうです。で、この犬はどうなったのか…ちょうど父が入院中で留守をしていたというのもあり、我が家に心の癒しがほしかったというのもあり、私が引き取ることにしました。冷たい雨の中親とはぐれてたどり着いた知り合いの家。実は市役所の日直は私の知り合いでした。なんとも不思議な縁ともあり、今では子犬の時に抱えた病気もすべて治り、元気に走り回っています。犬を飼う人の中にも、いまだに山に捨てに来る方もいるという現実にショックは隠せませんが、我が家に来たのも何かの縁だと思い、これからも大切にともに生活をしていきたいです。

次のお気に入りを探して

家の隣の空き地は広く、何もなく、春になるとワラビがたくさん生え、溝にはセリが出てくるそんなよい環境のところにうちの犬は住んでいます。隣の空き地は管理者が何も手入れをしないので、近所の方で年に何度か手入れをしています。我が家の犬もその手入れに一役かっています。まぁ、体がそれほど大きくないので、走り回っても大して草は抜けないのですが、ヘビがくると吠えて戦ってくれていたので、家の中にへびが入ってくることははりませんでした。時々、負傷して顔をパンパンにはらしていることもありますが(苦笑)そんなとなりの空き地が大好きだった我が家の犬ですが、今年に入り、隣の空き地に買い手が付き、工事が始まりました。犬の小屋すれすれのところまで重機が入り、我が家の犬はあまりの音の大きさに床に潜り込み、必死に耐え、時には恐怖のあまり、泣き叫ぶほどでした。少し離れた場所につないだり、隣の家にお願いして、隣との境につながせてもらったりと、工事の状況に合わせてジプシー生活を強いられてしまいました。工事が終わる夕方になると、また小屋に戻ってくることができましたが、何を思ったのか、リードが伸びる限り隣の敷地に入り、大きな糞を二か所にしたではありませんか!今まで、そんなところでしたこともなかったし、トイレは必ずお散歩の時にしかしたことがなかった我が家の犬が、隣の敷地で糞をしたんです。相当腹が立ったんでしょう。今まで見たことのない大きなショベルカーに、大きな工事の音を間近で聞き、自分の大好きだった場所がどんどん壊されていく様は犬にとってもどうしようもなく腹立たしかったようです。もう、大好きだった場所は更地になり、太陽光パネルがならんで、もう遊べなくなりました。もちろん、春のわらびも取れません。残念ですが、隣に家が建つよりましだったのかな?とも思います。犬にとっては悲しいばかりですが、今は桜の木のもとで、心地よい風を感じているようです。もう、新しいお気に入りを見つけたみたいでほっとした飼い主でした。

家に入れたのは私です

小学生の時に飼っていた犬のことです。当時は私の犬として保護施設から来た犬と、姉の犬として友人宅から来た犬の2匹を飼っていました。保護施設から来た犬は小さく、大人になっても10キロほどにしかならない小柄な犬でした。小さいながらも走り回り、ちょっとビビりでとってもかわいい犬でした。ある日、親が出かけている間に、私は自分の愛犬を玄関にこっそり連れてきました。まぁ、犬ですからその場にじっとしていることもなく、玄関で私とばたばたと遊んでいました。その遊びがエスカレートしていくのも時間の問題でした。だんだんと興奮してきた犬はついに家の中に入ってしまいました。慌てた私が捕まえようとした時、玄関が開き、両親が帰ってきたではありませんか!慌てるも何も、いたずらを隠す暇もなく…「おかえりなさい」としか言えませんでした。一方、私の犬はといいますと、部屋の一番奥まで行っていました。犬も親の登場に焦り、がたがたと物音を立てながら隠れようとするので、すぐに親にばれてしまいました。怒った親は、もちろん犬を外に出すべく犬のもとに行くものの、犬は本棚やベットの狭い隙間に逃げ込もうとするわで、その場はまさに戦場です。「コラー!」という親の怒りの声と、ドッタンバッタンと逃げる犬の音。部屋の奥の一番かどで、布団たたきで犬を部屋から出そうとしている親を見て、「私が家に入れました」といえるはずもなく、親と犬の戦いを見守ることしかできませんでした。最後には怒られてしょんぼりした犬と私が外に出て、息を荒げる親の姿が玄関にありました。いまだに、「あの犬はしらん間に家の中に入ってる子やったよね~」なんて思い出話になっていますが、あれは私です。ともう20年ほど経つ今でも親に言えない事実です。でも、あの犬は本当にかわいかったな…最後はつらい別れをしたけれど、今でも私の愛犬のうちの一匹です。